天然物と養殖物(5)2009/02/27

 海藻の養殖方法は有機栽培的である。魚類の養殖では養殖池に飼料をまき、これを大量に摂取させることで成長を促す。だから飼料の中身が問題となる。一方、野菜の成長には葉を通して行う光合成と、根から吸収される養分が欠かせない。養分の供給には肥料を使うが、化学肥料は敬遠され有機栽培が推奨されている。海藻の成長にも光合成と養分が必要である。しかし海藻の養殖には飼料も肥料も使わない。養殖の工夫と知恵は別のところに向けられている。
 詳しい説明は避けるが、例えば函館空港の東側にある小安地区の漁協ではコンブ種苗供給センターで真昆布の芽胞体を人工受精させ、沖合の筏に張ったロープに着生させて育てている。海藻は養分補給を葉の部分(葉体)で行うため根が岩礁に着くかロープに着くかは問題ではない。光合成のための水深は養殖の場合、自由に調節ができる。重要なのは十分な有機栄養分が流れ込んでくる場所にあること、海流や潮の流れがその昆布に適していることの2つである。