蟻の穴(1)2009/03/11

 中国に「韓非子」と呼ばれる古い書物があり、戦国時代末期の思想家・韓非とその弟子たちの著作を読むことができる。韓非は法と賞罰による支配が政治の根本であると説いた法家として知られ、その思想は秦に始まる中国の官僚国家創建の理論的支柱と目された人である。その中に「千丈の堤も蟻穴より崩る」という条がある。俗に「蟻の穴から堤も崩れる」と人口に膾炙されるほど著名な格言だが、これを現在の日本にあてはめるとどうなるだろうか。
 いやいや千丈の堤を小沢王国、蟻穴を検察の努力などという小さな話ではない。確かに家宅捜索を報じるテレビの映像は蟻の行列を連想させるに十分かも知れない。が、それでは何より法と正義を信じて奮闘する検察関係者に対して失礼であろう。そうではなくて、千丈の堤とは「世界第二の経済大国」と総理大臣が豪語する我が日本国のことである。問題は蟻穴が何であるか、いまひとつ明確でないことだ。それにいつできたかも問題であろう。

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