黄砂と黄沙(2)2009/03/19

 昔から黄砂に悩まされてきた漢字の本家・中国では専ら「黄沙」を使っている。飛来する砂塵の送出地帯に対しても「砂漠」とは言わず「沙漠」と称している。関連する法律の名称も「防沙治沙法」(2002年1月施行)である。日本にも「沙漠」を公式とする団体・日本沙漠学会があり、学術誌「沙漠研究」を発行している。だが論文などを見ると、研究者の多くは用語として「黄砂」を使っている。
 春先の空を黄褐色に変えるこの現象に対し日本の辞書が「黄砂・黄沙」と2つの表記を並べる理由は、一方の砂粒が大きいとか小さいとかいう大きさに起因したものではない。上空の風に乗って日本まで運ばれてくるのは、粒径が千分の4ミリメートルかそこらの微細な物質である。水気を含むから「沙」だろうとか、水気を感じないから「砂」だろうと言っても確認のしようがない。