新社会人に贈る言葉102009/04/15

 《目玉が2つあっても複眼ではない》

 前回の終わりに「社会人らしい複眼的な第2第3の視点をもって」と言いました。今日はこの「複眼的」ということについてお話ししましょう。単眼はクモ類に代表される単純な構造のレンズで、機能としては明暗に対する反応が中心です。一方、エビやカニなどの甲殻類に見られる複眼では形態を識別できるし、色彩を見分ける機能をもつものもあります。
 このように生物界では複眼の方がより高い機能をもつわけですが、人間界における複眼の意味は目玉が2つということと合わせて、物事に対する視点や見る角度やその立場が多様化することを指しています。親の庇護を受ける子ども時代であれば友だち選びは馬が合うかどうかだけで決めても、万一の場合は親が助けてくれるでしょう。しかし社会人となって独立した以上、そうした甘えや油断はもう許されないのです。
 しかし複眼的ということがビジネスの世界ではあまりに知られすぎたせいか、いつの間にか月並みな言葉として退けられ軽んじられて人々の脳裏から消え去ってしまいました。それを象徴する出来事がトヨタ自動車の赤字転落です。巷間「トヨタの教訓」としていろいろ言われていますが、世界一を目指すとした瞬間から経営のトップも他の役員も管理職も多くの人が複眼的思考を失ってしまいました。そして一般社員から工場や販売店の従業員に至るまで、トヨタ全体が単眼思考で埋め尽くされてしまったのです。

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