牡丹の不思議2009/04/28

牡丹の艶めき
 今年も牡丹の花が開いた。中国から渡来した植物に相応しく不思議な特徴を備えている。そのひとつが栽培の適地に関する選(え)り好みだ。これだけ大輪の花をつける植物にしては珍しく半日陰の場所を好む。朝日が射し、午後には日陰となるような場所が適している。うっかり素人考えで、あまり日当たりのよい場所に植えようものなら数年を経ずして枯れてしまう。機嫌取りの難しい花の女王と言えよう。
 もうひとつは、この植物が見た目と違って落葉小低木に属し、生育時に見事な障害物探知能力を発揮することだ。今月の初め、順調に伸び始めた一本の牡丹花の細い幹が、急に首を南側に傾けた。不思議に思ったが、そのまま真っ直ぐに伸びると開花後に花びらの先が近くに植わっているキンモクセイの小枝に触れると分かった。物差しで測ってみると、首を曲げた辺りから20センチ余の距離だった。蕾の奥に秘める探知能力のなせる技だろう。似たような花を咲かせるとはいっても、草本性の芍薬とはこの辺りが基本的に異なっている。
 三つ目は花の生命が短いことだ。その華麗さ、大きさに比して大変短い。蕾の時期は比較的長いが、いったん咲き始めると朝から夕方まで少しずつ少しずつまるで何かをじらすように開いてゆく。夜には多少は閉じてみせるが翌日はまた残った力を振り絞るようにして開く。すでに盛りを過ぎた感があっても意地で開いて誘ってみせる。そして翌々日、風を受けると今度ははらり、はらりと間をおきながら妖艶に花びらを落とす。次の句は、そんな牡丹花への追悼ではないだろうか。

 牡丹散て打かさなりぬ二三片 蕪村

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