春暑し--マスク2009/05/21

春が行く
 昨日はとうとう日中の最高気温が30度を超えました。まるで真夏のように暑い一日でした。一昨日までの涼しさが嘘のようです。と言っても、そうした暑さを実感する人がいる一方で都会に暮らす人の中にはビル内のエアコンに守られ、暑さも寒さも知らずに過ごす人もいるようです。逆に冷えすぎることで夏の到来を感じるといった一種倒錯した現象さえ起きていると聞きます。現代俳句が季節感を失う要因は、便利さを初めとして日々の生活の至るところで増殖を続けていると感じます。
 晩春の季語には「行く春」「春を送る」「春惜しむ」「春の果て」「末の春」といった穏やかな語調のものに加えて、季節の変化をこうして直接表現したものもあって先人たちの感性の豊かさにはただただ驚かされるばかりです。そんな中で昨今のインフルエンザの流行はどう理解し表現したらよいのでしょうか。もし芭蕉と曾良が江戸に戻って道行く人々のマスク姿(白覆面姿?)を目にしたら何と記すでしょうか。外出するたびに増えてゆく白いマスクの数が象徴しているのは果たしてインフルエンザだけでしょうか。

 春暑しマスクの人の不釣り合い まさと