◎発色の秘密--アジサイの季節2009/06/10

 七変化とも呼ばれる紫陽花ですが、花の色は水色を含む青色系、薄桃色系、紫系、そして白色でしょうか。これらの色の素になるのがアントシアニン(anthocyanin)と呼ばれる色素群です。これらの色素は糖の水酸基が炭化水素やアルコールなどの非糖質化合物と結合してできる化合物の形で植物の生体中に存在するため、配糖体とかグリコシドとも呼ばれています。これがアルカリ性では青色系、酸性では薄桃色系、中性では紫系の発色に関係していると考えられています。

 なお紫陽花の生体成分としてのアントシアニンについては次の文献があります。
 ○吉田久美 <解説 花色発現の分子メカニズム> [バイオサイエンスとインダストリー] 60(11) 2002.11 p743~746
 ○近藤忠雄、吉田久美 <アジサイやアサガオの色はなぜ変わるのか--アントシアニンの化学と生物機能> [現代化学] (376) 2002.7 p25~31

 また薄桃色系の紫陽花に関心をお持ちの場合は、次の栽培管理技術の文献が参考になるでしょう。
 ○清水良泰、浅見佳子、桜井公江、他 <促成栽培におけるピンク系アジサイの栽培管理が花色に及ぼす影響> [群馬県園芸試験場研究報告] (6) 2001.3 p39~46
 ○清水良泰 <アジサイの高品質鉢物栽培技術とピンク系品種の花色発現> [施設園芸] 39(9) 1997.09 p58~62

■院政--新釈国語2009/06/10

 政党や会社などの組織において現役を引退した実力者が引退後も政治や組織の運営に関する実権を握ってその影響力を行使し続けること。引退前からそのような体制を準備したり、そうした体制を整えた上で表舞台から身を引くことを「院政を敷く」と表現する。元は平安時代後期の11世紀後半から行われた白河上皇に始まる院庁での上皇または法皇による政治を指す歴史用語であるが、広義には後の時代における同様の政治形態に対しても用いられることがある。院政は引退した人物の権限や実力の大きさを示す言葉であると同時に、その引退が表面的なものに過ぎないことをも表しており、さらに後継の人物が引退した人物の意のままに動かざるを得ない事情にあることをも暗に示している。

新釈カタカナ語辞典(予告)2009/06/10

 明日から不定期で、新しい語釈辞典の連載を追加します。カタカナ語というのは片仮名で表記される言葉という意味です。パソコン用語など外来の言葉が中心になりますが、由来のはっきりしないものや日本生まれの言葉も混じりそうです。
 近頃ひどく気になるのが、官僚も政治家も新聞記者も平気で、明らかに従来の日本語とは生まれも育ちも異なる片仮名言葉を使うことです。一方で高齢化社会の到来を問題にしながら、一方では高齢者に決して理解しやすいとは思われない外来の言葉や聞いたこともないような片仮名表記の言葉を何の注釈もなしに平然と使っています。こうした姿勢に見え隠れするのは、この程度の言葉が理解できない日本人などいるわけがないといった、聞き手や読み手である国民を無視した高慢な態度です。
 筆者もまた理解できない側の一人であることを最初に申し上げて、懸命に意味や由来を調べたり勉強を重ねながら解説するつもりです。下記がその一例です。ご期待下さい。

■マーケティング marketing(英語)
 商売を盛んにして儲けを増やすために、どんな商品やサービスがよく売れるか調査し、それらをどんな方法で宣伝し販売すれば成功するか検討して結論を出すこと。官僚や学者風に言えば、生産者から消費者への流通を円滑にする活動。
 高度成長前の時代を知る人々にはマーケットは食料品や衣料品や日用雑貨などを買い求める場所、小さな店や露店の並ぶ市場(いちば)のイメージが強いことでしょう。しかしこの言葉の背景にあるマーケットは、売る側に立つ商人から見たものです。つまり商品の売り先です。利益を期待できる市場(しじょう)であるか、将来そうなる可能性があるかに関心をおいて使っています。消費者にとっては警戒が必要な言葉と言えるでしょう。