■責任政党--新釈国語2009/06/20

 政党政治において国の現状に責任を負う内閣を与党として支え、その国の将来像や進路などについての方針とそれらの実行を担保する財源の確保とを政策として明示し、その実現に責任を負う政党。しかし責任の範囲は明確でなく、選挙対策用の好印象づくりや頼りがいのある印象を演出するために用いられることも少なくない。官僚が作成した予算書を下敷きとし議会における多数派の地位を利用して成案化を図っているに過ぎないとの指摘もある。

■天の声--新釈国語2009/06/20

 それを聞いた者はその内容に従わなければ滅ぶとされる想像上の声。利害の重なる人々の間でしか聞くことができないとも、存在は虚構に過ぎないとも言われる。背景には中国に伝わる想像上の鳥・精衛が西山の木石をくわえて東海を埋めようとしたが果たせなかった「精衛海を填(うず)む」の徒労を避けたいという願いと共に、そのためには全てを金鶏鳥に託してその鳴き声に従うのが最善だとする共栄の思想が見て取れる。またアダム・スミスの経済社会思想である「神の見えざる手」の顰(ひそ)みに倣ってつくられた声とも言われる。神の声、天の啓示、聖断の同義語としても用いられる。

○オランダ苺--夏便り2009/06/20

 木苺をご紹介したので、最後に栽培用の普通の苺にも触れておきましょう。野性の苺に対し、江戸時代に長崎のオランダ商館を通じて到来したヨーロッパ系の品種はオランダ苺と総称されるそうです。小石川の植物園辺りで栽培されたのでしょうか。それにしても畑に植える草本性のものまでバラ科に分類するのはいかがなものでしょうか。違和感を覚えるのは素人だからでしょうか。
 収穫を終えた苺の根元からは新しい茎が元気よく伸びて、その先に節ができ根が出て新しい苗が誕生します。そしてその先にまた茎が伸びて、同じように少し小さめの苗ができます。農業技術指導員によると、この茎は匍匐茎(ほふくけい)と呼ばれ、来年用には二番目にできた苗を保存して使うとよいそうです。今年のごつごつした太い苗も一番目の大きな苗も処分します。理由は病気の遺伝を防ぐためです。
 こうして我が家では、苺の苗は30年以上も前から自前のものを使っています。素人ですから店先に並ぶような立派な大粒のものは数えるほどしか収穫できませんが、無農薬有機栽培の苺づくりを楽しんでいます。

  一粒の苺を分ける兄おとと  まさと

■人の褌で相撲を取る--新釈国語2009/06/20

 一般に褌(ふんどし)は腰部または陰部を覆い隠すために用いる帯状の下着のこと。この場合は自身の陰部を覆い隠すと同時に相手と組み合う際の手掛かりとするため、力士が土俵に上がるときは必ず身につけなければならない回しを指す。すなわち力士には必需品であるはずの褌を自身の才覚や努力で用意することなく、安易に他人のものを借用して土俵に上がり勝負に勝とうとすること。公平を重んじるスポーツの世界では決して許されることのない卑怯な戦法であるが、商売や政治といった結果だけが重視される世界においてはしばしば目にする行為でもある。

  ふんどしを洗って返す律儀者  不識詠人