◎アジサイ回顧(1)--夏便り2009/06/21

 先週15日に終了した連載記事「アジサイの季節」(全37回)に書き漏らしたことなどを綴ります。
 源順が白居易の「紫陽花詩」を「あぢさゐ」と結びつけたことによって日本の知識人がもっていた「あぢさゐ感」が大きく変わった、という筆者の説はすでにご紹介しました。彼がこの植物に注目したのは今から1080年ほど前のことです。白居易が紫陽花(シヨウカ)と名付けた植物の正体が何であるかは本欄の守備範囲を超えます。究明は、その道の専門家に譲るしかありません。ここでは、この花が日本で言うところのアジサイには該当しないだろうという点だけ指摘しておきます。
 その理由は、現代中国語でもアジサイには全く別の呼称が用いられているからです。ひとつはよく知られる八仙花 baxianhua(aの音は全て上バー付き)です。この呼称は「羣芳譜・雪毬」に「繍毬木」とか「春月開花、五瓣、百花成朶、團●如毬、其毬満樹」とあってコデマリをも思わせる植物ですが、「花有、紅白二種」ともあるのでアジサイにも用いられています(●の字は国構え+欒)。
 もうひとつは綉球花 xiuqiuhua(綉は繁体字、uの音はアクサン付き)です。どちらの呼称も、北京にある対外経済貿易大学と商務印書館が共同編集した「小学館日中辞典」に掲載されています。

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