◎一歳児(3)2009/07/11

 保育園に預けられた乳児がいわゆる人見知りをしなくなると、今度は保育士への甘えっ子競争が始まる。知恵が付くということの発現でもあろう。子ども同士で張り合い、競い合って保育士の奪い合いを始める。集団における生存競争に初めて参加した記念すべき瞬間でもある。こんな芸当は一日の大半を家の中で母親と過ごす一般の子どもには全く想像も付かない、保育園に預けられた子どもなればこその知恵であり経験と言えるだろう。こうして子どもたちは集団の中で逞しく育ってゆく。これが保育園における保育の特徴であり、利点でもある。
 しかしこれを利点として単純に喜んでよいかどうかは、保育士たちも自問自答しながら過ごしている。中には朝の7時から夜の7時まで一日の半分12時間を保育園で過ごす子どももいる。自宅に帰るのは夜の眠る時間とその前後だけである。この点だけでいうなら猛烈サラリーマンの父親とあまり差がない。早い子は生後3ヵ月目からこうした生活を始めている。
 知恵が付くということは当然、どんな知恵が付くのかその中身が問題にされなければならない。無垢の子どもが有垢の子どもに変わるのが知恵が付くという言葉のもうひとつの側面でもある。責任の大きさ、事の重大さを思うと「眠れなくなります」と漏らす保育士もいる。メディアが伝える小学生や中学生のよくない噂を耳にするたびに「自分が接した子どもではないだろうな、ないはずだと祈ってしまう」という。(つづく)

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック