○オクラ(2)--夏野菜2009/09/05

 オクラという植物の正体には不明な点が少なくない。辞書によって記述の異なることもあれば、誤りか誤りに近い記述も見られる。せめて花が咲き出す時間くらいは自分の目で確かめてから記録して欲しいものだ。それはさておき、初めてこの呼称を耳にしたとき、いったいどんな漢字を当てるのだろうとまず考えた。だが「オクラ」が英語を話す人々の間で使われる okra を仮名に置き換えただけの呼称と分かり、がっかりした。オクラはいかにも日本人が好みそうな和風の言葉であったからだ。

 とは言え、オクラの歴史も決して単純ではない。まず okra は一種の発音記号だから例えば米国と英国では異なって発音され決して一様ではない。オォクラもあればアクラもある。原産地がどこであるかも実はよく分かっていない。だがこれを好んで食べる人々やそうした人々が多く暮らす地域をたどると、北米地域への伝来は奴隷貿易の頃であり、西アフリカ辺りからもたらされたものだろうとの推測が成り立つ。しかしそこが原産地かどうかははっきりしない。

 日本にいつどこから伝わったのかも明確ではない。オクラの異称とされる「アメリカねり」を手掛かりにしてよいなら開国後の幕末か明治の頃に米国からと見るのが一般的だろう。同様の例はほかにも「アメリカぼうふう」などが知られる。では、もうひとつの異称「ガムボ」の場合はどうだろうか。これもどうやら米国の一部とカリブ海沿岸地域で使われる gumbo を仮名に置き換えた呼称と思われる。

 オクラも決して米国内で広く知られる言葉ではないが、ガムボの場合はもっと少数派になる。この語の起源はポルトガル語の quingombo が訛ったとする説が有力だ。もしそうだとすると、このポルトガル語は東アフリカ辺りで quillobo と呼ばれている植物が訛ってできた言葉だから、オクラの起源もその辺りまで遡ることが可能かも知れない。このように比較的新しいと思われる言葉でも、その起源を探すのは生やさしいことではない。

 今日の写真を見ていると何となく米国のオバマ大統領を彷彿とさせるところがあって、益々石山さんのオクラが好きになる。栄養豊富で廉価で、庶民向きの野菜だと思う。

◆マニフェストの役割2009/09/05

忘れてはいけないこと(4)

 今回の政権交代によって私たちの暮らしが少しでも良い方向へと向かうためには、まだまだ忘れてはいけないことがあります。民主党のマニフェストをしっかりと手元に保存しておくこともそのひとつです。そんなものインターネットを開けばいつでも見られるよ、などと思ってはなりません。本当に民主党を信じてよいだろうかと迷っている人なら、なおさら注意したい点です。インターネット上の情報ほど危ういものはありません。手で触れ、いつでも開くことのできる冊子の形で必ず保存しておきましょう。
 その上で、政権党内での活発な議論と政党としての規律ある行動との調和にも注目しましょう。一から十まで全部の政策に合格点を付けることは現実には難しい問題が出てくるはずです。しかしどんな場合でも常に普通の人の目線に立ち、国民の利益や生活を第一に考え、悩み、学びながら行動してくれるか見守りましょう。そして今回の選択が不味かった、失敗だと思ったら来年の参議院議員選挙では忘れずに他の政党に投票しましょう。
 そのためにも、自民党が前回総選挙で示した郵政民営化のマニフェストをきちんと総括して国民に公表できるか、こちらも忘れずに見ておく必要があります。総括なしでいくら出直しだけ叫んでも、もう同じ手には騙されません。また自民党の視線がマスコミだけに向けられていないか、真っ直ぐ国民全体を見ようとしているか見極める必要があります。なぜなら、もし民主党が明らかに公約違反と思われるような行為を国民に無断で行ったり、不十分な説明のみで繰り返すようなことがあったら次の政権交代を考えなければならないからです。そのとき自民党が現状と大差ない無責任な政党のままだったら困ってしまいます。何を反省し、何をどう改めようとするかマスコミ委せの視点ではなく、自分達の目でしっかりと見ておくことがどうしても必要です。(了)

 写真は色づき始めたムラサキシキブの実です。手前が枝の先、奥に小さく見えるのが根元に近い方です。撮影時の都合で枝の先から逆方向に撮したので、枝の先から色づくように見えますが実際はその反対です。