■下駄の雪--新釈国語2009/09/08

 下駄の歯に付着した雪のこと。雪の1~2センチも降り積もった道を下駄で歩くと、白いはずの雪道に下駄の歯で踏まれた跡から地面の土色が顔を出し、まるで漢字の「二」の字を書いたように見える。これが下駄の跡だが、地面が顔を出すのは踏まれた雪が下駄の歯に付着するからである。しかも雪は踏まれるたびに固まり次の雪が付着して、なかなか下駄の歯から落ちることがない。
 自民党と連立を組んで与党の一員となり都合4回の総選挙を闘った公明党は時に自民党の政策に異を唱えることはあっても10年間一度も政権を離脱することはなく、問題があっても最後は必ず自民党に同調して閣内協力を貫き通した。こんな公明党の対応ぶり・姿勢に対し、自民党の幹部が鼻歌交じりに漏らした言葉が「踏まれてもついてゆきます下駄の雪」だった。
 常に庶民の味方と称し、また政権与党としての実行力を誇示し続けた公明党ではあったが、他の政権より政策的に近かいと言われた福田政権の幕引きにも手を貸すなど内実は権力志向が強く、政権の座の維持に異常なほどの執念を見せたことも事実である。下駄の雪は、こうした公明党の政治姿勢を肝心の連立相手である自民党が最初から見透かし巧みに利用していた証拠と言えるだろう。政治は所詮「キツネとタヌキの化かし合いよ」と主張する人々に、格好の材料を提供していたことになる。