○草木瓜--実りの秋2009/09/09

 ボケの実は漢方で用いられる。そのためか中国では花ではなく実に注目しての命名となった。草ではなく木に瓜形の実が生る。これが呼称の由来であろう。しかし中国原産と言われる木瓜(ぼくか・もくか)と、日本の山野に自生する草木瓜(くさぼけ)とがどれほどの差のあるものか実はよく分からない。
 物の本には木瓜は人の背ほどの高さになるとか庭木に用いられるなどとあるが、盆栽に仕立てた物などを見ると草木瓜との区別は容易でない。強いてあげれば草木瓜の花が薄い朱色混じりの如何にも田舎育ちといった白色系であるのに対し、到来物の園芸種には紅色あり、白あり、咲き分けありと都びている点だろう。
 写真はまだ夏の盛りの草木瓜の実を撮したものである。具合よく日に当たり、綺麗に色づいている。蔕(へた)の部分が見えなければ青リンゴと紛うばかりの色や形である。こうしたものはそう多くない。もし薄紅色がなくて表面が薄黄色の土色に近ければ今の季節、長十郎や幸水といった梨の実と間違えるかも知れない。
 なお秋になれば黄色く熟してよい香りがするとか酸味が強いなどと記すものを見かけるが、目にする草木瓜の実はどこまでも石のように堅く、さほど香りがよいとも思えない。もっぱら25度の焼酎に入れ、氷砂糖を加えて木瓜酒にして楽しむ。年数が経つと紅色の濃さがどんどん増して独特の赤黒い色に変る。そして口当たりもどろっとした感じになり、ややクセのある薬のような味がする。この辺に漢方に選ばれる秘密があるのかも知れない。

コメント

_ 小山けさ美 ― 2014/09/17 13:24

毎年ジナシの酒を作ります。今年は大きくとてもいい、ジナシを沢山取りました
焼酎でつける以外、何かありますか、教えてください。

_ まさと ― 2014/11/05 19:04

ジナシという言葉を懐かしく拝見しました。漢字を宛てれば地梨とでもするのでしょうか。いくつかに割って焼酎で漬ける以外、利用法を知りません。

一方、山にあった自生の梨の実は木から落として食べました。茶褐色のピンポン球くらいの大きさでした。時期が早いとボケの実に負けないくらい硬かった気がします。しかし熟してくると囓って食べることができました。かすかな芳香もあったと思います。

懐かしい記憶をありがとうございました。お役に立てなくてすみません。

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