○青紫蘇2009/10/02

 シソはチソと呼ばれることもあるが、漢名由来の言葉である。シはもちろん紫色である。蘇は蘇生の蘇であり、訓ではもっぱら「よみがえる」を当てる。しかしこれ以外にも実はいろいろな意味があって、この場合は草の意である。つまり紫色をした草が紫蘇の原義ということになる。
 だからアオジソはシロサルスベリのところでも話したように耳で聞いている分にはどうということはなくても、目で見ると妙な言葉のひとつと言わざるを得ない。単に湯桶読みの問題だけでなく、目で見たときの不自然さが際だっている。セイシソなら、つまり青紫色の草なら矛盾は感じないが、青い色をした紫の草では何のことか分からなくなる。
 おそらく紫蘇が日本に伝わって、それが漢名由来の語であることを誰も意識しなくなった後に、青紫蘇という呼称は生まれたのであろう。シソを自分たちの言葉である和語と考えたからこそ、その上に何の抵抗もなく「青」を冠することができたのである。もうひとつの呼称である大葉(おおば)は、この不自然さに気づいた人々が意識的に使い始めたものではないかと思われてならない。

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