○蓼(2)--野の花2009/10/05

 藍染めで知られる藍(あい)もタデの仲間である。近頃の若い人は藍色と言わずにindigo(インジゴ、インディゴ)と呼ぶそうである。中年以上がジーパンと呼ぶ、あのデニム製ジーンズの紺系の色がindigo blue(インジゴブルー、インディゴブルー)である。但しこうした外国産のindigoの中には藍とは種類の異なる植物から採取されたり、工業的に合成された染料によるものが少なくない。

 純国産の藍色もやはり、くすんだ感じの青色をしている。藍の色の濃度は染める回数によって決まる。そこで日本語では紺色とか、縹(はなだ)色とか、浅葱(あさぎ)色などと、その差を表現する言葉を考えた。縹色は藍の色が薄く、浅葱の場合は微かに緑が混じる薄い青である。こんなところにも日本文化の特色が見られる。若者には、そういうことも知って欲しい。

 とは言え、本物の藍染めは手打ち蕎麦と同様、今では金持ちでないと滅多にお目にかかれない高価な品に変じてしまった。先祖が聞いたら世の中変だと、さぞや驚くことだろう。(つづく)

  しづけさにたゝかふ蟹や蓼の花 石田波郷

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