○鶏頭(1)2009/10/09

 子どもの頃「ケイト」または「ケイトー」という言葉を耳にした記憶がある。季節は旧のお盆を過ぎる頃だったと思う。その意味するものが植物であると知ったのは中学生頃だったろう。「とさか」という言葉は随分と幼い頃から知っていた。多分、鶏を飼っていたせいだと思う。その「とさか」が鶏冠と記され、「ケイトー」の鶏頭と元は同じものを指していたと知ったのは高校に進んでからだった。

 確かによく見ると、この植物の花序は鶏冠に似ている。が、もしかしたら鶏の方がこの植物に似ているのかも知れない。鶏の存在が先で、植物の出現が後だという証拠はないはずだ。と、ここまで考えて気がついた。そうではない。この植物を「ケイトー」と読んだのは鶏は見知っていても、この植物が存在しない土地の人々であった。危うく鶏が先か卵が先かの議論に陥るところであった。植物図鑑などにはインド辺りが原産地ではないかと記されている。(つづく)

  鶏頭に秋の日のいろきまりけり 久保田万太郎

コメント

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

名前:
メールアドレス:
URL:
コメント:

トラックバック