◆ドッドさんの絵本2009/11/22

 もうすぐまた師走がやって来る。日本では厳しい冬の季節を迎えるが、南半球にあるニュージーランドはこれからが夏本番である。茶目っ気たっぷりの愉快な犬6匹が繰り広げる楽しい絵本の作者ドッドさんはここで生まれ、今も北島のタウランガに暮らしている。小さい頃から絵を描くのが大好きで美術学校に学び、クイーンマーガレット・カレッジで美術の先生をしていた。そんな彼女が絵本の制作を手がけるようになったのは、猫の絵本に入れる挿絵を頼まれたことがきっかけだった。

 掲載したのは1983年に発表した第1作目 Hairy Maclary from Donaldson's Dairy (1983) のお話の「転」にあたる箇所の挿絵(一部分)である。この場面は登場人物(?)となる6匹が勢揃いし意気揚々とお散歩を続けるうちに、とうとう町外れまで来てしまったという箇所にあたる。どの挿絵にもドッドさんらしい細やかな仕掛けがあって幼い子どもでも十分楽しめるようになっている。しかもこのページには少し大きな子どものために次の場面を予測させるようなちょっとワクワクする工夫も施されていて、読んでもらうとき子ども達が息を潜めて見守る箇所でもある。(残念ながらそれらの工夫や仕掛けは掲載した部分の枠外にある)

 この作品はいきなり大ヒットし、ドッドさんは大学を辞めて絵本の制作に専念することになった。といっても次から次へと描きまくる流行作家ではなく常に丹念な仕事を心がけ、発表は律儀に一年一作を守っている。そしてどの作品も永く英語圏の子ども達に読み継がれるロングセラー絵本となった。主人公はマクレリー、画面の右端にお尻だけ見える小さな黒い犬の名前である。(つづく)

 *邦題:もしゃもしゃマクレリーおさんぽにゆく(あづき、2004.4)

○芒・すすき--晩秋2009/11/22


 穂を出したススキが風になびく様を見て列島の先人達は秋の訪れを感じた。現代の人々は何に目にしたとき秋を感じるのだろうか。エコだ何だといいながら一年中エアコンを効かせ、年がら年中風邪を引き、四六時中マスクをして歩いている。これが不思議でなくて何が不思議かと思う。


 確かにススキがなびく様にも秋の風情はある。だがそれ以上に、ススキの穂や葉を照らす日射しにこそ秋の訪れの秘密があると思う。長いことカメラのファインダーを覗いてきて、そんな実感を持っている。なぜなら秋が近づくと真上からの日射しは無くなり、専ら斜めに差し込む陽光だけが撮影の頼りとなる。しかもその時間は短く、決して待ってはくれない。この光による効果こそが秋という季節感の演出者であろう。

  我が庵も芒がくれとなりにける 虚子