◎季節の言葉 初富士 ― 2010/01/01
大晦日を無事に送ると、次は新しい年の初め元日である。元旦はその朝をいう。元朝ともいうが、今では広く一月一日を指す言葉として用いられることが多い。そのせいというわけでもないが元日は仕事も店も市場も休みのため、早起きするのは氏神様や鎮守様にお参りする一部の人ぐらいではないだろうか。
元朝の見るものにせん富士の山 山崎宗鑑
朝寝坊して、元朝が醸す目出度い瑞気や独特の瑞々しさを感じそこなった身でも、届けられた年賀状に目を通し急ぎ、忘れた人への返信を認めて郵便局へ向かう時には否応なしに外気に触れる。少々寝ぼけていても、目に入る景色は家並みも嶺の山々も田圃や畑や路傍の草まで、どこか美しく新鮮である。
無事に赤い函に賀状を投げ入れて、ふと目を上げると、マンションの屋上の向こうに見慣れた台形の一部が見えた。富士山である。こんな所で、こんな角度に、まさか初富士を見ようとは思ってもみなかった。
写真は夕刻、散歩の途中に立ち寄るいつもの眺めのよい場所で写した。日没後ではあったが、これも広い意味では初富士と言えるだろう。今日は一日中、強い風が吹いていた。お陰で夕方の雲にも邪魔されることなく、心ゆくまで元日の富士を楽しむことができた。佳い年になりそうだ。
初富士をさへぎるもののなかりけり 片岡奈王

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