◎季節の言葉 冬至梅2010/01/20

 白梅日記に一二度紹介していただいたメジロです。白梅の蕾さんから頼まれた冬至梅の写真をお目にかけます。冬至梅は師走も終りに近い冬至の頃に咲く梅という意味です。物の本には八重が多いとか、薄紅色をしているとか記すものもあるようですが、この品種は昔からよく知られた五弁の花びらを付けます。


 この寺には「寅さん」の映画に出てくるような源ちゃんに似た寺男の小父さんがいます。しかし源ちゃんと違って働き者です。とても熱心に庭木や草花の手入れをしています。この樹は、その小父さんが30年ほど前に実生から育てた苗木が大きく成長したものです。初め5本の苗が芽を出し元気に育っていたそうですが、数年後には4本がどこかへ持ち去られてしまったと話してくれました。


 そういう人にはきっと仏罰が下って、今も地獄の閻魔様の前で責めを受けているだろうと思います。

  冬梅のひとつ二つは鳥の声 土芳

○白梅日記162010/01/20

 今日は大寒、暦の上では一番寒い日のはずです。しかし全くその反対でした。午前中は空に筋状の珍しい薄い雲がかかり、南西の暖かい風が強く吹きました。昼にはその雲も消え、日射しが眩しく感じられました。そして気温は午後に入って上がり続け、夕方お日様が傾く頃には何と18度近くまで達しました。コートを着ていた人は堪らず、脱いで手に持って歩いていました。まるで「北風と太陽」のお話に見るような一日でした。


 お陰で私たちの枝の姉蕾はすっかり開花し、「やっぱり大人はいいわね。どう、きれいでしょう」なんて気取っていました。私たち姉弟もみんな「今日中に咲こうよ」とか「慌てるなよ」とか大はしゃぎでした。写真は今朝10時半頃のものと思います。今日でこの日記もお仕舞いだそうですから、この間からお伝えしている近くの枝の姉花に加えて、他の枝の様子もご覧に入れようと思います。


 とにかくどの枝も天と地がひっくり返ったような大騒ぎです。暖かいを通り越して、何だか蒸れてしまいそうです。とても蕾なんか付けて澄ましていられる寒さでも涼しさでもありません。もう真夜中のはずですが、今も南西の強い風が吹いています。さきほど私たちを見に来られた年配の方が「まるで4月のお花見の陽気だね」と仰っていました。大急ぎで蕾を脱ぎ捨てようと、あっちの枝でも、こっちの枝でも相変わらず妹弟たちが懸命に蠢(うごめ)いています…。ご愛読有難うございました。(了)

  練馬野に藁屋根のこり梅早し 中島よしを