☆熟語を読む 未曾有2010/02/20

【かな】 みぞう
【語義】 過去にその例がないこと。非常に珍しいこと。
【解説】 漢文表現であり、訓読みすれば「未(いま)だ曾(かつ)て有(あ)らず」となる。中国・戦国時代の墨家の思想を説く「墨子」に「緩賢忘士、而能以其國存者、未曾有也」がある。意訳すれば「政策にぴりっとしたものがなく防衛も余り重視されない、そういう国が長く続いた試しがない」と云ったところであろう。曾ては過去のある時、昔の意である。現代では後に否定表現を添えた「かつてない」の言い方が一般的であり、「かつてないほどの大勝利」「いまだかつて負けたことがない」のように用いられる。なお未曾有は漢音ではなく呉音の言葉であり、文字に忠実に付せば「み・ぞう・う」となる。が、それでは発音しにくいため「ぞう」が「ぞ」と短縮され、この音が慣用されている。
【用例】 おそらくこれは盛典としても未曾有、京都から江戸への御通行としても未曾有のことであろうと言わるる。(島崎藤村「夜明け前」)

◆リンゴの話2010/02/20

 先月、「季節外れ」の話をしたばかりである。今頃リンゴの話を持ちだすのは典型的な季節外れと言われそうな気もする。だが青森県りんご果樹課の資料を見ると、今や青森りんごの出荷は一年を通して行われている。しかも1~3月は出荷量の最も多くなる時期である。1月2月3月と尻上がりに増えている。(2006年産実績)

 ⇒http://atsso.asablo.jp/blog/2010/01/26/4839152 季節外れ
 ⇒http://atsso.asablo.jp/blog/2010/01/27/4839991 季節外れ 2
 ⇒http://atsso.asablo.jp/blog/2010/01/28/4841310 季節外れ 3
 ⇒http://atsso.asablo.jp/blog/2010/01/30/4843865 季節外れ 4

 たかがリンゴと思ってはいけない。先月も書いたが、ことリンゴに関する限り食卓における季節感はもはや過去のものとなりつつある。花はともかく季題としてのリンゴの果実は、よほどの工夫や精進がないと佳句には結びつかない。難しい時代を迎えている。


 されどリンゴはりんごであり、林檎である。第一に、その名称からして謎だらけではないか。現代中国では apple は林檎とは呼ばない。どうも苹果 (ping guo) と呼ばれるようだ。耳で聞けば似ている気もするが、漢字・林檎の出自はどうなっているのか気になる。第二に、リンゴが一年中口に入るようになったきっかけは保存技術の進化だろう。さすれば、そこから何か学ぶことがあるはずではないか。

 第三に、昨今の学校教育は経済や金融など money に関わることも積極的に子ども達に教えているとか。それならばリンゴの流通は格好の教育材料となるはずだ。収穫されたリンゴがどのような経路をたどって食卓まで届くのか、知ることも悪くない。何よりリンゴは日本人にとって大変馴染みの深い果物である。商売や経営の基本を学んだり、食の安全について考えたりする上で身近な素材となるだろう。ということで、明日からリンゴについて考えてみることにした。(つづく)