◆紅梅と白梅 32010/02/25

 ここで注意深い読者は白梅系という言葉が使われていないことに気づくだろう。紅梅系はあるのに白梅系がなく、色とは無縁の野梅系という言葉が使われている。これは一体どうしたことかといぶかしく思うだろう。あるいは豊後系の分類が終ったら次は紅色の花を付ける紅梅系の分類を行い、最後に残ったものをまとめて野梅系と称することにする。この方法なら野梅系とした中に、白梅に混じってたまには紅色に咲くものもあるかも知れない。それで白梅系とは呼ばず野梅系と称したのではないか、そう考える人も多そうだ。

  しら梅や誰むかしより垣の外 蕪村

 そういう方々はもう一度、初回をお読みいただきたい。苗木市で買ったのは紅梅と聞いた梅の苗木である。野梅とも白梅とも言われたわけではない。紅梅と聞いて買い求めたものである。これらの推理はどれも見当違いだ。種明かしをしよう。最初にお断りしておくが、梅の分類方法は一様ではなく諸説あるそうだ。


 だが吉野梅郷の管理にあたる関係者の説くところによると、梅の紅白を分ける基準は花の色ではない。つまり分類の基準・視点が素人の考えるところとはまるっきり違うのである。梅の分類は一目でそれと分かる雑種性の強いもの、つまり豊後系がまず分類される。そして残りの梅はより原種に近いとされる野梅系と、多く紅色の花を付ける紅梅系に分類される。この時の分類の基準は枝の断面の色にある。ぽきんと折った断面が白ければ野梅系、紅色をしていれば紅梅系となる。

 花びらの色は多く枝の断面の色に添っているからそうなったのだろうが、自然界は0と1とで全てを決するデジタルの世界ほど単純ではない。断面が白い野梅系の中にも紅色の花を咲かせる品種があって紅筆性という細分が設けられているし、紅梅系紅梅性の中にも希にだが白い花を付けるものが現れる。だからこそ自然界は面白いのだ。興味のある方は是非、下記のページをご覧いただきたい。(了)

 http://www.omekanko.gr.jp/ume/zukan_sub01.htm 梅の分類と特徴(青梅市観光協会)

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