◆りんごの誤解 残留農薬(3)2010/03/02

 ボルドー液はその名の通りフランスのボルドー地方におけるブドウ栽培から始まった果樹のための殺菌剤である。ブドウもりんごも収穫前のまだ木になっている状態で観察すると、いずれも表面が白く粉を吹いたように見える。ブドウの場合は果皮には直接手を触れないのが理想だから店頭で買い求める際にも、この白い粉を吹いたようなものは例外なくほぼそのまま残っている。

 だから気にする人は多分これを農薬のせいと思うだろう。そして白いものを洗い落とそうと懸命に水をかけたり、一粒一粒丁寧に粉を擦り取ってから食卓へ出している。また口へ運ぶ際にも皮が口へ入らないよう丹念に表皮を剥き去っている。だが注意深い人なら、この白い粉のようなものの付着がどうも農薬の散布とは関係ないとすぐに気づくはずだ。なぜなら農薬など全く散布していないその辺の庭の甘柿などにもうっすらと付いているからである。


 この正体は果粉と呼ばれ、りんごや柿やブドウなどが果皮の内側から出している保湿成分の一種である。生物として果実内の水分蒸散を調節するために自分自身で一種のワックスをつくりだし、自分の力で表皮に塗って保護に努めているのである。だから蝋のように固まってうっすらと白く見えるものもあれば、品種によってはまるで油でも塗りつけているかのようにベトベトするほどたくさん付いていて、洗剤を付けたスポンジなどで擦っても容易に落ちないものもある。りんごで云えばジョナゴ-ルド、つがる、千秋などが後者の例になろう。

 いずれにしてもこうした誤解が生まれる背景として、りんご農家を始めとする生産者側に情報提供の面で不足するものがあることを指摘しておきたい。またこうした問題の解決を行政に頼りすぎた嫌いもある。不審が不信を生み、言い訳がまた不審につながるという負の連鎖を断ち切るために、どうしてもこの辺で生産者自身による情報の積極的な開示と情報を継続して提供するための自助努力を始める必要がある。まずは農薬散布の実情を公表する農家・農園が増えてゆくことを期待したい。(了)

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