◎練馬野にも空襲があった 62010/03/10

「では千人針もされたのですね?」
「戦地で弾に中らないようにってね…」

 女性の顔が一瞬曇り、悲しそうに窓の外を見つめた。身内か大切な人を戦争で亡くしたのかも知れない。

「そう言えば、よく ▽△伍長の墓 などと誌されたお墓を目にしますね…」
「うん、大勢亡くなったからね。この辺りでも…」


 女性の説明によると兵隊にとられたのは長兄だった。親類縁者からも前途を嘱望された屈強な青年だったが、千人針の願いは届かなかった。長兄が生きて大泉の地を踏むことはなかった。まだ若かった両親の嘆きは、いま思い出しても胸が塞がるという。(つづく)