■人の褌で相撲を取る--新釈国語2009/06/20

 一般に褌(ふんどし)は腰部または陰部を覆い隠すために用いる帯状の下着のこと。この場合は自身の陰部を覆い隠すと同時に相手と組み合う際の手掛かりとするため、力士が土俵に上がるときは必ず身につけなければならない回しを指す。すなわち力士には必需品であるはずの褌を自身の才覚や努力で用意することなく、安易に他人のものを借用して土俵に上がり勝負に勝とうとすること。公平を重んじるスポーツの世界では決して許されることのない卑怯な戦法であるが、商売や政治といった結果だけが重視される世界においてはしばしば目にする行為でもある。

  ふんどしを洗って返す律儀者  不識詠人