■骨太の方針--新釈国語2009/06/04

 飽食や華美な生活に明け暮れた人々が財布にはもう借金の証文しか残っていないと気づいて慌てふためき批判の矛先を政府に向けたり、不満の捌け口を政権交代に求めたりすることを避けるために、従来とは目先の異なる手法によって宥(なだ)めたり安心させたりする方策。我々の骨は元々太く丈夫に造られているから案ずるには及ばないとする認識を示して安心させようとする部分と、無駄や贅沢を廃し極力カルシウムの摂取などに努めるならば将来的にはさらに強く太い骨になるであろうとする見通しの2つの部分で構成される。
 呼称の起源は、バブル経済の崩壊によって停滞を続ける日本経済の活性化と巨額の財政赤字を抱える国の財政状況の改善を目指した小泉内閣の政策にあり、竹中経済財政担当相の発案で設けられた経済財政諮問会議の答申を内閣の基本方針とする際にその別称として用いられた。従来型の内閣による基本方針との差を強く意識させる命名でもあったが、内閣交代劇が重なり諮問会議の影が薄くなると、案ずるには及ばないとする前段の認識部分だけが継承されて再び従来型の大盤振る舞い政策が勢いを取り戻し、今や命名の由来さえ忘れる政治家も少なくない。

夕暮れ--田圃のある風景2009/06/04

 片桐さんの句と共にご紹介した細雨の信濃路は、田圃にまだ水が引かれていませんでした。田圃を起こしても水がなければ代(しろ)掻きはできません。川があっても雨が降らなければ水位は低く、思うように水を分けてもらうことができません。昔は水争いが絶えなかったと聞きます。各地に今も残る溜め池の中には、新田開発が盛んに行われた近世から明治の頃に、こうした争いを避ける目的で造られたものが少なくないようです。
 今日の一枚は無事に代掻きが終わって田植えを待つ、夕暮れ近い信濃路の山里の風景です。やはり細かな雨が降っています。なお、代とは田圃のことです。代は、古代にあっては田圃の広さや面積を示すための単位でもありました。

七変化--アジサイの季節2009/06/04

 七変化(しちへんげ)は紫陽花の別名です。スイカズラの花が終わる頃、ガクアジサイのてっぺんに付いた小さな粒々に割れ目が見えたり周りにちらほらするものが花びらの形に見えてきます。七変化の始まりです。それから、うっすらと色づいてゆきます。この時期が一番好きだという人もいます。まだ清純そのものだからでしょう。しかし花言葉には「あなたは冷淡よ」も混じるとか。誰が付けたのでしょうか。
 なお写真が少しぼやけて見えるかも知れません。前夜の雨が花びらや粒々に、しっかりと残っているせいです。