■量刑--新釈国語2009/08/06

 裁判所が、有罪と判断した被告人に対し、刑法に定められた個々の刑(法定刑)に、再犯か未遂かといった被告人の事情を考慮した加重・減免がある場合はそれを加えて重くしたり逆に減らしたり免じたりして、また犯罪の情状に酌量すべきものがあるときはその刑を減らしたり軽くして、法律上も裁判手続き上も妥当と見なせる範囲の刑(処断刑)を決め、さらに検察官の意見(求刑)・被害者参加人の意見・被告人の態度なども考慮して、最終的に判決として被告人に言い渡す刑(宣告刑)を決定すること。刑の量定とも呼ばれる。
 法定刑や処断刑には法律が定める明確な基準が存在するのに対し、宣告刑には多くの判例が存在しても実際には事件ごとに細部の事情までが一致するわけではないので、その最終的な判断は裁判官と裁判員の心証に委ねられることになる。但し裁判用語としての心証とは「心証を害する」といった表現に見られるような一般的な印象ではなく、裁判官や裁判員が法廷での審理を通じて弁論や証拠から得た事実の存否(有無)に関する確信や認識の度合いの意である。なお検察官も被告人も、量刑を不当な内容と判断したときは刑事訴訟法の規定によって、上級裁判所に新たな裁判を求めることができる。

○今日の朝顔(1)--盛夏2009/08/06

 明日は立秋、朝顔を秋の七草に数える習わしは山上憶良が詠んだ「秋の花」と題する歌2首に始まる。「万葉集」には次のように記されている。しかし朝顔は現在では誰もが夏に咲く花と考えていて、これを秋の季題とする説には異論も多い。

  其の一 秋の野に咲きたる花を指折りかき数ふれば七種の花
  其の二 萩の花尾花葛花なでしこの花をみなへしまた藤袴朝顔の花

 この憶良の歌については桔梗説が妥当としても、万葉集に詠まれたアサガホという言葉の全てが特定の植物を指すものと一律に解釈する考え方には賛成できない。日の出とともに美しく咲き出す花を広くそう呼んだものも当然含まれていよう。そう見なす方が安全である。すでにムクゲの項において述べたとおりである。

 ⇒http://atsso.asablo.jp/blog/2009/07/31/ 木槿花びっくり

 来週火曜日11日から29日まで、このブログも夏休みに入る。そこで今日から10日まで毎日、他の記事に混じるが現代の朝顔の様子をお目にかけようと思う。

○今日は原爆忌2009/08/06

 今日は原爆忌である。昭和20年(1945)8月6日、米軍は広島に原子爆弾を投下した。その惨状と悲劇と人間の愚かしさとを終生忘れず、後世に語り継ぐための記念日である。

  むし風呂のごとき夜が明け原爆忌 河原白朝

○今日は満月2009/08/06

 今日は原爆忌そして満月、明日は早くも立秋である。

  秋たつや何におどろく陰陽師 蕪村

○露草(2)--野の花々2009/08/06

 露草は至る所に咲いているが丈が短く花びらも小さいため、見る目を持たない人には終生気づくことのない花かも知れぬ。他の多くの草々に混じって咲くこともあれば、そうした草の群れから横に茎を伸ばし、地を這い根を出しながら咲くこともある。
 花は一日で終わる。小さいが実に目の覚めるような鮮やかな青い色をしていて、青花や藍花の呼称もある。この花で染めた青は露草色とも呼ばれる。二弁の花の前には写真に見るように雄蘂が長く突き出ていて、付け根にある雌蘂との対比で何とも微笑ましい表情を見せることがある。(つづく)

  露草は私の花 髪にさす 岡本 眸