○台風一過--実りの秋2009/09/01

 幸い台風11号は房総半島東の沖合を通り過ぎてゆきました。一時はハラハラさせられましたが、これでもうしばらく好天が続けば何とか例年並みの作柄(さくがら)を期待できそうです。心配なのは収穫量より味の方かも知れません。梅雨明けの遅れが穂の出る時期までずれ込み、これが味の形成にどう影響するか気になります。
 ところで作柄という熟語は漢字の音訓という視点で眺めると原則から外れた不規則な読み方をしています。最初が音読み、次が訓読みです。作は作物あるいは農作物の意です。これに対して柄は作物の出来具合を示す接尾語の役目を果たしています。事柄、時節柄、商売柄、あるいは「柄にもないことをした」「柄が悪い」などというときの「がら」と同じ和語です。様子・状態、性質、能力など見た目や見た目の裏にあるものを表すときに用いられます。
 次の句は今から100年以上前の20世紀初め、明治30年代の早い時期に子規が詠んだものです。当時は上野の森を水源とする田圃が根岸辺りにもあって、子規庵からも望むことができたのでしょう。東京の地図を開くと今も早稲田など稲作に関係の深い地名を見つけることができて嬉しくなります。

  雨含む上野の森や稲日和 子規

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