○秋海棠(2)--野の草花2009/10/01

 惜春(春を惜しむ)とは言うが、惜夏は聞いたことがない。まだ若かった青春時代には色々思い出があっても、壮年時代はただただ馬車馬の如く働いただけで何も思い出すことはないということだろうか。夏の日の思い出は、若い人の歌詞(うた)の世界にこそ似つかわしいのかも知れない。
 今日の写真は8月の初めに撮影したものである。昨日の写真は秋の彼岸過ぎに撮した。同じ個体ではないが、この間に50日という時間が流れている。花の数は僅かでも葉の色が青々としている。隅々まで若々しさがある。一方、昨日の秋海棠は花も賑やかだし、節の赤味も最高潮に達している。だが葉の色は盛りを過ぎたと正直に伝えている。花が可憐であるだけ哀れみのようなものも感じられて寂しくなる。
 昨日は久しぶりに傘の手放せない一日だった。今日は暦替わって10月である。(了)

  紅淡く雨多かりし秋海棠 佐々木麦童

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