○秋明菊2009/10/04

 シュウメイギクは、春に咲く黄色のキンポウゲの仲間である。花の色は白と黄色で異なるが、よく見れば確かに似ている。特に茎や葉は見間違うほど似通っている。牡丹もキンポウゲの仲間だからか秋牡丹と呼ばれることもあるそうだ。そこら中に咲いていて栽培種なのか自生なのか区別の付かないことがある。図鑑などには薄紅色の花を付けるものもあると記されているが、まだ目にしたことはない。
 面白いのはキンポウゲの撮影が必ず日の長くなる季節に行われるのに対して、こちらシュウメイギクの撮影は決まって日が短くなる季節であり、それが画面の中に背景として忠実に撮し込まれることである。そのせいか、どの写真を見ても背景は暗い。おそらくこれが、秋明菊という呼称に込められた意味なのだろう。

○蓼(1)--野の花2009/10/04

 野の花の代表格ともされるタデを御覧いただこう。俗諺の「蓼食う虫も好きずき」に登場する言葉だという知識はあっても、その姿・正体については未だ知らぬという人が多いのではないだろうか。非常に身近な植物でありながら意外に知られていない側面をもっている。仲間の種類が多いことでも知られ、世界中では優に数百を超えると図鑑などには記されている。

 日本人が好んで食べるソバも実はタデの仲間である。我々の祖先は遙か遠い昔からその実を収穫し、粉に引いて糧食としてきたのである。稲作に適さない高地の集落などには今でも、こうして伝えられた美味いソバを守り続ける土地がある。傾斜したり水の便の悪い畑で主に栽培し、石臼で粉に引き、捏ね鉢で水や山芋の汁を加えて練り、捏ねたものを大きな伸し板の上に拡げて細く刻み、茹でて食べている。素朴だがソバ粉本来の味がする。先日、たまたま知人から収穫したばかりの新ソバを使った手打ちの蕎麦が届けられた。これが実に美味だった。(つづく)

  おとろへる暑さのさびし蓼の花 増田龍雨