○通草の季節(2)--秋色2009/10/21

 アケビの漢名を通草というそうだが、これがアケビのどこを指すのか、実を指すのか、蔓(木部)を指すのか、それとも全体なのか、どうもはっきりしない。すでに他の植物でもみたように草花の呼称はその民族がどの部分に注目したかを示す証拠でもある。

 また辞書によっては漢名を木通(もくつう)と記すものもある。これは漢方でいう生薬の名である。アケビの蔓からつくられ、多くは薄い輪切りにして販売される。アケビの皮が苦いのは、おそらくこの蔓に由来するものだろう。同様の苦みがあるからだ。

 写真のアケビ(実)は大きくてグロテスクだが、そう見える原因の一つは蛇か何かの口元のように見える筋のあることだろう。これは隣の蔓に接しているうちに擦れてできた古傷の跡である。この太い蔓のお陰で毎年大きな実が生るのだからあまり文句も言えない。アケビの皮には縦に割れ目の筋がはっきりと見えていて、破裂の日の近いことを教えている。(つづく)

  通草垂れ藤の棚にはあらざりし 富安風生

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