◆空徳利を振ってみる 旨酒の誘惑2010/02/10

 しかるに昨今の自民党を見ていると、この政治的理想がさっぱり見えてこない。若手といわれる国会議員の中には理想に燃える人士もいることだろうに、それを党内で議論することがない。それどころか、そういう議論を始めようとすると寄ってたかって邪魔をしている。まるでそんな議論は我が党には関係ないといわんばかりに、青臭いの一言で片づけている。確かに世襲で議員を務める者にとって、政治的理想など何の意義も感じないのかも知れない。何の役に立つのか、さっぱり分からないというのが本音だろう。地盤と看板があれば銀行はいつでも資金を用立ててくれるし、政治資金集めのパーティーにも苦労しない。そういう人々の集まりが旧政権与党の自民党だったのだ。だから徒党というよりは世襲政治屋集団とでも呼ぶべき集合体に過ぎなかったのだ。


 もうひとつ考えられるのは成功譚後遺症である。現在の執行部や執行部人事を根回しした大臣経験者など古株の人々の頭の中にはかつて細川連立政権を短期間で退陣させたときの余韻が、政権党復帰を果たしてたらふく飲んだ旨酒の酔いとともにまだ残っているのかも知れない。しかも一寸見(ちょっとみ)には酷似した政治状況と映るからどうしても頭から離れなくなってしまう。マスコミはここぞとばかりに囃し立てるし、鳩山首相の政治資金問題に加えて小沢幹事長の資金管理団体の問題までが棚から牡丹餅のように目の前に転がっている。腹の空いた魚でなくとも、ここはつい手が出てしまう場面だろう。(つづく)