夏から秋へ--雲(1)2012/09/04




 お天道様はやはり暦を御存じなのであろう。あれほどに暑かった今年の関東も九月の声を聞いた途端激しい雨に見舞われ、すっかり秋めいてしまった。写真はそんな期待と予感を抱かせた一日朝の、北東の空を撮したものである。ちょうど日の出の時刻であった。大きな積雲がむくむくと湧き上がり、朝の光に輝き始めている。

  雲の峰 雷を封じて 聳えけり  漱石

 確かに夏の雲にはこうしたむくつけき姿形をしたものが多い。これが、京の堂上貴族ならずとも不気味に感じる一番の理由だろう。実際この日の午後には、この辺りにも予感と期待に合わせるかのように雨が降り始めた。そして今朝まで、時に雷鳴・時に土砂降りをまじえながら降っては止みを繰り返した。

 次は三日の夕刻に、同じ北東の空をやや遠くから撮したものである。日没にはまだ少し間があったが西の空には雲があり、夕陽を見ることはなかった。二枚の間には二日と半日の時間が流れている。断続的に降り続いた雨の量は百ミリを超えた。雲の様子も光の色も、空気も風も、季節が夏から秋へと確実に変わりつつあることを感じさせる。



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