○尾花--秋の七草2009/09/21

 芒(ぼう)も薄(はく)も日本では「すすき」という訓を与えている。しかし前者のつくりである亡が先の細く尖った鋭さを表す鋒に通じ、これによって細く鋭い葉をもつ草の意になっているのに対し、後者は入り交じる、あるいは群がって生える草の意であるようだ。つまり対象を異なった視点から眺めているのだが結果としては同じものを指すことになった、ということらしい。事実、ススキは群生する草の総称でもある。漢字を宛てる際にはこんな点にも目を向けると先人の知恵が身近に感じられよう。
 一方、尾花はススキの穂を指す呼称である。その形状が動物の尻尾(しっぽ)に似ていることから名付けられた、とたいていの辞書には書いてある。ススキは米と同じイネ科の植物である。だから穂の出方もイネに似ている。異なるのはイネには米が実り、その重さで穂が撓(しな)るのに対し、ススキはどこまでも真っ直ぐに棒立ちしていることである。その美しさ軽さを花にたとえるのはよいとして、決して実をつけることのない雄花の解釈がないのは少し不思議な気がする。

  尾花照る日射しはまはる野辺の道 まさと

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