月曜日の保育園(2)2009/04/21

 とは言え、現状が幼い子どもたちに大きな負担を強いていることも確かです。ではどうしたら事態を改善できるでしょうか。大人が善かれと思って実行していることが裏目に出ているのです。そこさえ気づいて改めれば、問題はあっという間に消えてなくなります。ちょっと工夫するだけでよいのです。
 疲れているのは子どもだけではありません。大人も毎日の仕事で疲れています。長時間に及ぶ労働が続き、あるいは神経を使う仕事があって多くの大人が疲れを感じています。にもかかわらず子どものためだと思うと、大人はつい無理をしてしまいます。普段、子どもに済まないとか悪いと思っているので休日はどうしても欲張ってしまうのです。だからまず無理を止めることです。
 そもそも子どもが望んでいるのは、何時間もクルマに乗ったり電車に揺られたりして大きな遊園地に出かけることではありません。おもちゃ売場の雑踏の中で時間を過ごすことでも、きれいな景色を見ることでも、知らないレストランで食事をすることでもありません。大好きなお父さんやお母さんと一緒に過ごす、そのことを願っているのです。お父さんやお母さんと気持が通じ合う、肌を触れ合う、肉声を聞く・交わす、そういった時間を求めているのです。

新社会人に贈る言葉142009/04/21

 《目的を誤るな、手段は選べ》

 友人に、銀行へ入行してから喫煙を覚えた人がいました。「いました」と書いたのは、すでに故人となったからです。まだ元気で支店長としてバリバリ働いていた頃に尋ねたことがあります。「君はどうしてタバコなんか吸うのだ」と。返ってきた友人の答えはこうでした。「いや自分でも(身体に)よくないことは分かっているが、とにかくこれがないと間が持たないのだよ。」
 銀行員は世間話や趣味などの話をしながら巧みに顧客企業の業績や社長の素行などを探り、見込みがあれば取引きを促します。融資を持ちかけたり、手元資金に余裕があると分かれば利回りのよい商品の購入などを勧めます。取引きが始まれば常に経営状況を監視し、リスクを感じれば融資の引き上げや回収にかかります。そのため経理担当者や経営者との面談が欠かせません。その際の間を持たせる手段としてタバコが使われるようです。他の業種でも「面談の多い仕事ではタバコが欠かせない」という話をよく耳にします。
 しかし銀行員の仕事は銀行が保有する資金の効率的な運用であって、行員がタバコを吸うことではありません。にもかかわらず間が持たない、間を持たせたいという理由から多くの営業マンが「やむを得ず」タバコを吸い続けています。そして肺にニコチンのどす黒いタールを溜め込み、寿命を縮めています。運が良くても肺気腫、運が悪ければ肺ガンを背負い込むこと必定です。友人の場合は後者でした。もちろん銀行が喫煙を勧めたわけでも強制したわけでもありません。全ては就職直後の駆出し行員時代に友人が自分で判断し、軽い気持で始めたことです。
 いつの間にか「間を持たせる」ことが目的となり、その手段として喫煙を必要不可欠なものと考えてしまったのです。若い皆さんに、こんな失敗や悲劇を繰り返して欲しくありません。自分の仕事の目的は何か、もう一度冷静に考えてみましょう。そして手段はその時その時で、また対象や相手に応じて選びましょう。決して「手段がひとつしかない」などと考えないことです。