新社会人に贈る言葉152009/04/22

 《根は詰めるな、時には休め》

 皆さんはもう職場に配属されましたか。初めての職場の感想はいかがですか。緊張しますか。それとも案外リラックスできる職場ですか。恐らく「ちゃらんぽらんな奴」と思われたくない一心でかなり緊張したり、無理をしたり、気負いすぎたりしている人もいることでしょう。しかし、あまり緊張したり根(こん)を詰めるのは考え物です。健康を損ねる因(もと)になるだけでなく、却って見えるものも見えなくなって失敗の原因をつくります。
 根気は粘り強く一つのことを続ける気力です。当然そういった能力は尊重されなければなりません。ところが、どちらかというと個人より集団の力が試される組織型社会においては、度を超した根気や粘り強さは敬遠されることがあります。上司や同僚の様子も見ながら判断することが大切です。それと、もうひとつ気をつけたいことがあります。中国・前漢時代の思想書「淮南子(えなんじ)」の言葉がそれを教えてくれます。

○鹿を逐(お)う者は山を見ず

 初めは山を見ているつもりでも視野に鹿が入った途端、多くの人が山の存在を忘れ、ひたすら鹿だけを追いかけるようになります。気がつけば、自分が今どこにいるのかさえ分からないほど無茶苦茶に駆け回っています。その典型がトヨタ自動車の赤字転落です。時には休息を取るだけの余裕がないと決してよい仕事はできないという教訓です。

月曜日の保育園(3)2009/04/22

 週の休みが1日だけの場合はもちろんのこと、2日連続して取れる場合でも子どもが幼いうちは、特に学齢に達するまでは休日の遠出は止めましょう。田舎へ帰るとか、お祖父ちゃんやお祖母ちゃんに会うとか、従姉妹・兄弟に会うなどの場合を除いては避けるのが賢明です。そうした場合でも往復に要する時間、先方での滞在時間をよく考え、帰宅した後にそうした時間と同じだけの余裕を確保することが大切です。それが無理なら余裕が取れる夏休みや年末年始まで遠出は控えましょう。
 普段の休日は近所の公園が最も適しています。歩いて10分以内で行ける公園を探し、そこで20~30分一緒に遊んであげましょう。公園での滞在時間は、子どもの遊ぶ様子を見ながら、成長に応じて少しずつ延ばしてゆけばよいでしょう。それが子どもの成長を見守るということです。
 ささやかな外出は、大人が住まいの周辺環境に関心をもつことにも役立ちます。平日は通勤に忙しく、こうした点まで観察する余裕はないはずです。知っているのは自宅と駅と保育園とコンビニの場所くらいなものでしょう。家族が住んでいる町の現状について多くの大人が実は何も知らずに暮らしているのです。町の現状を知ることが、市民としての視野を広げ、24時間その町で暮らす子どもたちの将来をも考えることにつながってゆくのです。