オクラ(夏野菜)--ヒロ田中さんからの手紙 22012/09/03

 ヒロ田中さんから頂戴した手紙の続きを公開します。これでオクラが米国に渡来した背景や時期、そしてgumboとの関係も明らかになりました。ご教示に深く感謝いたします。 


(2)米国版「オークラ」の起源

 より深く料理のバックグラウンドや歴史的背景を知りたくなり、さまざまな料理サイトを読んでいたある日ある料理研究家による文章を読み始めた瞬間、思わず声を上げてしまいました。料理名のガンボ、またはガムボはスワヒリ語でオークラを指すと説明されていたのです。たしかにアフリカ語の響きを持つコトバですが、思わずシタリとヒザを打ったのは、元の発音はグンボ、またはグムボであったという件(くだり)を読んだ時でした。この方がもっとスワヒリ発音に近いと、そしてもっとも説得力があると思えたからです。

 歴史考証:アフリカから入荷し、競売にかけられた奴隷たちは主に南部諸州のプランテーションで使役される。奴隷小屋の夕餉の定番がグムボ。なんでもかんでも刻んで屋外で煮立たせる粗末なスープ。ご主人さまの邸宅の厨房で料理に従事する奴隷たちが、白人たちが見向きもしない臓物や脂肪や骨を小屋に持って帰り、スープに使う。ある時はご主人の厨房で同じような献立を作ったことも考えられる。「これは何だ?」と訊ねられた奴隷がオークラのことを訊かれているのだと思い「グムボ」と答える。白人たちはgumboと書き、米語式にUをAと発音し、いつの間にかこの誤解が料理名になった。

 この考証が、自分にはピッタリ来る一番の説明でした。少なくともガンボのメッカ、ルイジアナではそう信じられています。日本にオークラがいつ、どのように伝来したか、諸説紛々で眉ツバな説明もあるようです。しかし、グムボ=オークラという考証が自分なりに納得できた気がするので、日本バージョンの考証はそのままお蔵入りでもいいと思っています。誤字脱字および冗漫な文章をご容赦ください。

 ヒロ田中 拝  (2010年3月24日)


 最後に、石山さんのオクラ畑の様子もお目にかけましょう。上が夕方の6時過ぎ、下が翌朝8時過ぎの撮影です。