○田の草取り--夏の田圃2009/07/28

 昔は田の草を手で取った。「一番草、二番草と2回、田圃に入って取りましたなぁ」と徳さん。「稲の先が顔に当たるから痛くてねぇ」「そうそう、お面を被って。金網の…」と、田圃の水を見にやってきた徳さんとひとしきり昔話に花が咲いた。暑い上に一番泣かされたのがヒルだった。大きなヒルが腕に這い上がってきて血を吸った。これが酷く痛かった。
 やがて田の草を取る手押しの除草機が開発され、それを押して田圃の中を往復するようになった。手押しとは言っても田土の重い泥の中を歯車で掻き回しながら進むのである。決して楽な仕事ではない。それからでも半世紀近く経つ。暫くはまめな年寄りが田圃に入って手で丹念に草取りをする姿も見かけたが、いつの間にかそれもなくなった。
 今は毒性が弱く、稲にはほとんど吸収されることなく雑草だけを退治してくれる優れた除草剤が開発されている。お陰で腰をかがめ痛い思いをして田圃の中を往復することも、重い除草機を押して往復することもなくなった。それでもヒエだけは手で抜かないと退治できない。同じ稲の仲間だから薬剤の攻撃対象にはならない。水の管理だけは残ったが、それも大規模農家では田圃全体を工場化することで自動化しているという。徳さんのように米を手作りする人は今や、中山間地域の限られた小規模農家だけになりつつあるようだ。

  苗程は蛭も肥たり田草取 嘯山

コメント

_ やすらぎ ― 2009/07/28 13:14

 田んぼの側の小川にもひるがいました。
タニシを捕るのは楽しかったけど、ひるにとりつかれるのが怖かった
子供のころ、思い出します。

_ まさと ― 2009/07/29 05:21

そう言えばタニシがいましたね。
ゴイサギやカルガモが啄んでいる中にもタニシがいるでしょうか。
ドジョウやカニは動くので暫く見ていると分かりますが、タニシのことはすっかり忘れていました。
ありがとうございました。

お元気を取り戻されたようで何よりです。

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