☆読めますか? この漢字032010/02/17

☆野
1.今年の正月は閑雲野鶴を描いた墨絵の賀状が多かった。
2.運動野とか連合野は頭の中にあるもの、蓮台野は墓地のことらしい。
3.高野豆腐は豆腐を凍らせてつくるので凍み豆腐とか凍り豆腐とも呼ばれる。
【解説】
1.かんうんやかく:閑雲(カンウン)はゆったりと静かに漂う雲、野鶴(ヤカク)は野に遊ぶ野性の鶴を云う。これらは何ものにも束縛されることなく気ままに悠然と生きるさまの象徴とされ、境遇が悠々自適であることの喩えに使われる。
2.うんどうや:大脳皮質の随意運動に関係する領域を指す motor area を日本語化した言葉。野(ヤ)はある範囲を抽象的に示す語として用いられている。
  れんごうや:大脳皮質の運動野や感覚野の周辺にあって他の神経中枢と連絡を取り合っている神経中枢群 association area を日本語化した言葉。
  れんだいの:蓮台はハス(蓮)のうてな(台)のこと。蓮台が並ぶ野中の場所の意で、墓地や火葬場を指す。野(の)は野原や野中の具体的な範囲・広さを示す語として使われている。
3.こうやどうふ:元は寒中の寒さを利用して製造したが今では人工的に一年中つくられている。高野(こうや)は真言宗総本山金剛峰寺のある高野山に由来する名称と云われる。

◎言葉の詮索 暖か2010/02/17

 寒中には暖かな日射しの降り注ぐ春のような陽気が続いたのに、立春を過ぎてからというもの日本列島はすっかりお日様に見放されてしまった。毎日のように北風が吹き、時には冷たい雨が降り、ところによっては雪や霙(みぞれ)に見舞われる寒い季節に逆戻りしてしまった。せめて言葉の上だけでも、ここらで春の準備をしておきたい。


 そう考えていたら今年も法事を知らせる案内状が届いた。立春を過ぎる頃から毎年、この季節になると親戚などから法事の通知が葉書や封書で送られてくる。それらの文面は決まって「春暖の候」という書き出して始まっている。これが秋の法事だと「秋冷の候」に代わる。春暖や暖春は聞くが、秋暖も暖秋も聞いたことがない。暖冬とはいうが暖夏とは云わない。なぜだろう。辞書はこの疑問に答えてくれるだろうか。(つづく)

  あたゝかになる日を母のために待つ 栗原米作