■目配り--新釈国語2009/07/07

 四方八方は無論のこと、時には物の裏側や上側下側にも注意を向けて平穏無事か、何か悪い兆候が現れていないか隅から隅まで見落としがないよう常にひとつひとつ確かめること。目とは眼の意、眼は視力と同時に心の働きをも表す言葉。見える場所、視野に入る場所だけを眺めるのでなく、通常では見えない場所や気づかないところにも注意を向け、さらには相手の心の微かな動きをも察知できるよう普段から心がけることをいう。
 目配りは企業などの幹部社員、大衆を代弁する政治家などに不可欠の資質である。目配りを怠ると組織内に不満が増えて能率が下がり、品質管理や顧客へのサービスも低下するため社会的な信用も低下する。株主の目配りも欠かせないが、それを活用しようとする経営者はそう多くない。政治家の場合は政策がちぐはぐなものとなり、有権者の信頼を失う。非力な総裁が大家から派遣された幹事長の発信力不足を理由にこれを交替させようと思案するなどは単なる認識不足に因るものであり、目配り以前の問題である。
 なお目配りは一般の公務員にも当然必要な資質だが、公僕意識が希薄な現状では保身だけを目的としたものになりやすい。これをどう改革するかは大きな政治課題であり、国の借金解消策とも深く関わっている。国民の目配りが試される課題でもある。

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