■泥縄式--新釈国語2009/07/29

 普段の準備を怠り、いざというときになって大慌てで準備を始めることを喩えていう。「泥棒を捕らえて縄を綯(な)う」の略といわれ、単に泥縄ともいう。泥棒を見つけて捕まえても、いつまでもその身体を押さえつけたり腕をねじ上げているわけにはいかない。縄で縛り上げて役人に引き渡すのが普通だ。ところが肝心の縄がない。泥棒が入るなどとは夢にも思わないから、そんな準備はしていない。そこで慌てて縄を綯い始めるのである。
 衆議院の解散は議員にとっては首切り宣告にも等しく即失職を意味する。普段、有権者に向き合うことなく永田町界隈で暮らし、料亭などに足を延ばすだけの議員は解散権をちらつかせる総理大臣が死ぬほど怖かった。昨今はそんな不安がなくなった代わりに、いくら縄を綯って準備をしていても泥棒の方で怖がって、さっぱり来てくれない。泥棒も予告をして、すったもんだした挙げ句でないとなかなか顔も出せない時代になった。だからこの喩えは第45回衆議院議員選挙には使えない。いま当てはまりそうなのは「アニメの殿堂」騒ぎで忙しい文化庁くらいだろう。

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