◆空徳利を振ってみる 料亭じみん2010/02/13

 自民党など旧政権与党の再生の行方は今後の日本の政治状況を占う上でも重要な要素であることは疑いない。だが現状は益々望み薄の状態と言えるだろう。政治的理想の見えないことはすでに書いたが、さらに驚いたのは何を勘違いしたものか衆議院解散まで持ち出したことである。衆議院解散とは総選挙のことである。総選挙をするためには候補者を立てなければならない。候補者とは将来の政治家である。政治家とは政治的理想に燃える人々である。そんな人がどこにいるだろうか。いればとっくに理想も見えるし、党内の議論も活発に行われ、国会審議にもその一端は反映されているだろう。それがさっぱり見えないから案じているのだ。


 こういう党の代表者や執行部を見ていると70年80年前の日本の軍部の軍人たちを思い出す。160年前の攘夷派の大名や家臣たちを思い起こす。その結果については言うまでもなかろう。腕利きの仲居に愛想を尽かされ去られて以来、どうも料亭「じみん」は経営が思わしくない。昨今は馴染みの客にまで愛想を尽かされる始末とか。哀れと思って寄ってはみたが、なぜか徳利の酒がすぐ冷める。料理はテキシツのフライに炒め物、揚げ足鳥の唐揚げと場末の居酒屋を思わせるし、そもそも酒の味が薄い。庭の井戸から水でも汲んで量目を増やしているのだろうか。

 こんな店によくこれまで客が金を払っていたものだと妙に感心しながら、女将か番頭でも呼んで文句を言おうと徳利を振ってみた。が元より空徳利である。音の出るはずもない。そんな場所へ立ち寄った我が身に腹が立つだけだった。急いで勘定を済ませ、寒の戻った町へ出た。おお寒い。(了)

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