☆熟語を読む 未曾有2010/02/20

【かな】 みぞう
【語義】 過去にその例がないこと。非常に珍しいこと。
【解説】 漢文表現であり、訓読みすれば「未(いま)だ曾(かつ)て有(あ)らず」となる。中国・戦国時代の墨家の思想を説く「墨子」に「緩賢忘士、而能以其國存者、未曾有也」がある。意訳すれば「政策にぴりっとしたものがなく防衛も余り重視されない、そういう国が長く続いた試しがない」と云ったところであろう。曾ては過去のある時、昔の意である。現代では後に否定表現を添えた「かつてない」の言い方が一般的であり、「かつてないほどの大勝利」「いまだかつて負けたことがない」のように用いられる。なお未曾有は漢音ではなく呉音の言葉であり、文字に忠実に付せば「み・ぞう・う」となる。が、それでは発音しにくいため「ぞう」が「ぞ」と短縮され、この音が慣用されている。
【用例】 おそらくこれは盛典としても未曾有、京都から江戸への御通行としても未曾有のことであろうと言わるる。(島崎藤村「夜明け前」)

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