語義と研究者2009/01/31

 原義とはその言葉が本来もっている意味であり、転義はその意味が転じたり、その意味から派生したりして新たに付け加わったものを指している。一方、誤用はその言葉の意味を誤って解釈したことに基づく用法や使用例のことである。こう言うと原義と転義の差は至極単純なことのように聞こえる。
 しかし転じたり派生したりする過程と誤用と呼ばれるものの差を峻別することは容易ではない。単純な誤解が繰り返されているうちに新たな語義として定着していった例もあるだろうし、その時々の文化状況などを背景に徐々に意味が変わっていった例もあるだろう。誤用と決めつける前にそうした点まで丹念に穿鑿し、十分に外堀を埋めておかなければならない。そうしないと足下を掬われてしまう。何も畏れるものがない言い放しの人々と研究者との差は、多分こんなところにあるのだろう。

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