◎言葉の詮索 縁結び(1)2010/04/06

 縁という漢字は正字では糸偏に彖(たん)と書きます。糸偏は織物を表し、彖には端(はし)の意があります。つまり布の端っこが原義です。この端をもって他の布の端と結んだり端と端を縫い合わせれば、より長い布・大きな布とすることができます。一枚の布だけでは端っこに過ぎなくても他の布と繋ぎ合わせるときには、この端っこが重要な役目をするわけです。

 ところで人間(ヒト)は群れて暮らす動物です。年齢も身体の大きさも力の強さも好みも違う老若男女が社会という群れをつくって生活しています。群れの中で生まれ、寿命が尽きると死に、残った者がその亡骸を弔います。子どもが生まれるためには成熟した若い男女が他の哺乳類と同様に交わり、女性は母となって新しい命を誕生させることが必要です。


 一方、男性もニホンザルのような単なるオスとしての役割だけを負っていてはヒトの社会は成立ちません。伴侶となった女性を助け、住まいや食料を確保し、子どもを安全かつ確実に成人させる重要な役目を負っています。次の世代の担い手が育つまで常に見守り続ける必要があるのです。

 これが父性と呼ばれるものです。従来のサル社会には見られなかった父性の誕生・獲得がサルの群れに継続的な夫婦という結合を生み出し、結合の結果でもある子どもを含めた家族がヒト社会とサル社会とを分ける最も重要な差となったのです。若い皆さんには、この点をしっかりと自覚して伴侶探しに望んで欲しいと思います。(つづく)

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