○木犀の香り(番外)--秋色2009/10/19

 中国ではモクセイと言えば銀桂(ギンケイ)が一般的だそうである。モクセイの花を桂花と称することはすでに紹介した。日本ではモクセイの花と聞けば多くの人が白花よりも薄い朱色の小花を浮かべるのではないだろうか。
 銀木犀は山地に自生するものもあって山道などで突然、あの何とも言えぬ強い香りに驚かされることがある。そのためか中国には九里香なる別名もあると聞く。しかし一里は4キロ弱の距離である。いくら何でも35キロも先まで香りが届くとも思えない。やっぱり白髪三千丈の世界の話であろう。

  われに来る木犀の香をひとよぎり 橋本多佳子