◎漢名探し(7)--アジサイの季節2009/06/14

 この点こそが、以後400年の長きにわたり日本の知識人からアジサイを遠ざけることになった主要な原因ではないでしょうか。家持は「万葉集」の選者と目される万葉末期の代表的な歌人です。「万葉集」に最も多くの歌を遺しています。その家持が詠んだ歌に登場するアジサイの印象は否定的なものです。
 一方、諸兄は一時は権勢を恣にするほど栄えた運の強い人とも言えますが、その晩年は不遇なものでした。処世術に長けるなど芳しくない噂もありました。歌人としての評価は決して低くないと言えるでしょうが、家持のアジサイに対する扱いを覆すほどの力はなかったでしょう。むしろ、うかつに手を出して諸兄のような運命を引き寄せたくないと考えるのが当時としては自然でしょう。
 では何故、ある時期からアジサイが和歌に再登場することになったのでしょうか。それが明日のテーマです。そして今年の、アジサイを巡る話の結末となります。本日も、お付き合い有難うございました。お休みなさい。

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