■晩節を汚す--新釈国語2009/06/13

 一度現役を退いたはずの人物が再び表舞台に登場し何かを仕損なって世間から冷笑を浴びること。晩節は晩年、老後、現役引退後などを指す言葉。節は時の意である。汚すは、本来清らかで美しいはずのものを汚くすることをいう。経営者や政治家など現役時代に一定の業績があった人々について主に用いられる。すなわち功成り名を遂げて引退したはずの人物が思わぬ場所に引っ張り出されて不用意な発言をしたり、時にはみずから進んで頼まれもしない放言をして物議を醸すことなどをいう。
 一廉(ひとかど)の人物であれば現役を退いた後も身辺や自分の発言には注意を払い、警戒を忘れることもないと考えるのが普通である。こうした問題を引き起こすのは、その人物が世間の評価とは裏腹にさほどの玉(たま)ではなかったことの証拠でもある。そのため、単に地が出たに過ぎないと切って捨てる意見も少なくない。いずれにせよ、あの世へ旅立つまでは油断しないことが肝心である。

◎漢名探し(1)--アジサイの季節2009/06/13

 かつて、このブログで「こぶし・拳・辛夷」と題して書いたことがあります。春先の花こぶしの漢字名がどうにも腑に落ちなかったからです。漢字名は漢名とも呼ばれます。関心のある方はそちらも是非お読みください。⇒http://atsso.asablo.jp/blog/2009/03/24/
 この問題はアジサイにもあります。今日の写真はいわゆるヤマアジサイです。知人が大事に育てているものをお借りして撮影しました。色は違いますが、実際に山の斜面に咲いているものも知っています。見た感じではガクアジサイによく似ているし、昨日ご紹介したスミダノハナビの親のようにも思われます。
 この花が果たして本当に日本原産なのか、それともアジア地域に広く分布しているものなのか、そして和名「あぢさゐ」と漢名の「紫陽花」との関係はどう考えればよいのか。これがこの連載最後の、紫陽花に関する話題です。