■袋小路--新釈国語2009/06/23

 袋は片側だけ口が開いていて他は閉じられた状態を指す言葉。小路(こうじ)は大路(おおじ)に対する語で、表通りや大通りから脇に入った幅の狭い道をいう。旧仮名遣いで「こうぢ」と記すことからも想像されるように「ぢ」は道の意であり、立派な和語である。袋小路は狭い日本列島の一部が都市化された際に、初めはやむを得ず出来上がったものであろう。町並みが無計画に広がって行き、行く手を川や土手や丘などに阻まれたり遮られて塞がったままになったのではないか。しかし江戸時代にはこれを逆用して故意に分かりにくい町づくりを行い、敵の侵入を防いだとも聞く。
 いま袋小路はもっぱら政治や経済の閉塞した状況を示す言葉として用いられる。袋の鼠(ねずみ)、袋叩きなど「袋」の印象も芳しくない。だが袋縫いや袋綴じなど先人が編み出したり愛用した知恵には優れたものが少なくない。一度聞いたら決して忘れない、学習塾や予備校ならずとも凡人には喉から手が出るほど欲しい便利で重宝な耳は袋耳と呼ばれる。いま一度歴史を振り返って先人の知恵に学ぶ謙虚さが必要なようだ。

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