○露草(1)--野の花々2009/08/04

 紫露草は紹介したが、本家の露草の紹介を忘れていた。本家と書いたのは前者が園芸用の帰化植物であるのに対し、後者は万葉集にも登場する歴(れっき)とした野の花だからである。しかし植物分類の世界ではどちらも同じツユクサ、つまり同属と見なされている。そのためか露草と聞くと最近は、紫露草を思い浮かべる人が多くなってしまった。片や多年草で背も高く、こなた一年草で丈は短いとなればどう見ても日本古来の花に勝ち目はない。
 昨今は田舎でもガーデニングが大流行りである。老いも若きも玄関先や庭先に朱色風土色の妙な形をした鉢を並べたり、同じ色合いの格子状の衝立(ついたて)をそこら中に立てかけている。聞けばテレビの影響だと言う。新聞も負けずに家庭欄などで書き立てる。雑誌については言うまでもない。
 しかし本当に「美しい国・日本」を望むのであれば、テレビは無知や無教養を売り物にしたドタバタ番組を止め、俄(にわか)仕立てのエコ番組ではなく、視聴者の目が野の花や万葉の花などに知らず知らずのうちに向かうような、そんな番組制作にじっくり取り組む必要がある。口では「日本を大事に」とか「日本を愛そう」などと言っても、スポンサー企業の腹の中には爪の垢ほどもそんな気持はないのだろう。新聞社然り、雑誌社は言うに及ばず、政府や文部科学省にしても同じ穴の狢(むじな)に過ぎない。(つづく)

 ⇒http://atsso.asablo.jp/blog/2009/06/18/ 紫露草の色
 ⇒http://atsso.asablo.jp/blog/2009/07/19/ 赤い紫露草

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