■オウンゴール--新釈カタカナ語2009/08/08

 主にサッカー(フットボール)において、みずからの行為によって味方のゴールにボールを入れ結果として相手側に得点を許すこと。サッカーは相手側のゴールにボールを蹴り込むことで得点になる球技だが、これを相手側ではなく誤って味方のゴールに入れてしまうことをいう。英語の own goal が自殺点と訳されるのはこのためである。しかし故意に行われるプレーではなく、相手の攻撃を防ごうとして敵味方がもつれ合う際に偶発的に発生するのが常である。バスケットボールやアイスホッケーなどの球技でも同様のことが起こりうる。転じて近年、味方の敗北や自身の辞任・引退に繋がるような重大な失敗や失態をみずからの言動によってわざわざ引き起こすことにも用いられるようになった。
 今のところ球技以外での言葉の使い手は首相官邸とその周辺に限られるが、何かと目立ちたがりで新しもの好きな政界やマスメディアのことだから、いつ全体に伝染・普及しないとも限らない。その際によくよく注意しなければならないのは、サッカーなど球技の場合はゴール前の激しい攻防の結果として全く偶然に起こるものであるのに対し、政治や報道の世界では自覚さえあれば十分に防ぎうる行為だということだ。この本質的な部分での差を忘れて単に分かりやすさや話題性など目先の事柄だけに注目していると、いずれ痛い目に遭うのは有権者や視聴者である。

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